一人で株式会社を作る場合に最初のステップとなる定款の作成と、公証人による認証について解説します。
会社の設立の企画者であるご本人が、発起人として定款を作成します。 定款には必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項と言います)があり、このうち一つでも欠けてしまうと定款は無効となってしまいます。 法的にも間違いのない定款を作るために、専門家である行政書士に定款の作成を依頼することもできます。

定款とは
定款とは、会社の組織・活動に関する根本規則、及びその規則を記載した書面(電子データも可)のことを言います。会社法により、定款には①目的、➁商号、③本店の所在地、④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、⑤発起人の氏名又は名称及び住所を記載/記録しなければならないとされています。
①目的
会社が営利をあげるために目的となる事業のことです。 例えば、食品、日用雑貨等の宅配業やエステティックサロンの経営など具体的に記載します。
➁商号
会社の名称のことです。 ○○株式会社や株式会社○○など、「株式会社」の呼称を入れなければいけません。
③本店の所在地
一人で作る会社の場合には複数の営業所を持つということは考えにくいですが、本店とは主たる営業所のことです。 最小独立行政区画である区(東京23区の場合)市町村まででよく、地番まで記載することは任意です。
④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
一人株式会社の発起人はその会社の株主となります。 株式会社では、株主は、その有する株式の引き受け価額を限度とする間接有限責任しか負わないため、会社の債権者の担保となるのは会社財産のみであり、一定の財産が現実に拠出され、かつ保有されることが求められます。この点に答えるために、定款には、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額を記載することが求められています。
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
会社を設立する発起人の氏名と住所です。
発行可能株式総数
発行可能株式総数とは、発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数をいいます。発行株式総数は、他の絶対的記載事項とは異なり、原始定款(最初に作る定款で公証人に認証を受けなければならない定款)の作成時に定めなくともよく、設立手続きの完了時までに定款で定めればよいことになっています。
定款に記載しておいたほうがよい事項
定款への記載は必須ではありませんが、実際上乱用のおそれが大きいので、特にその事項についての効力を発生させる場合には、定款への記載が必要とされている事項があります。 これらは変態設立事項と呼ばれ、次のような事項があります。
- 現物出資
- 財産引受け
- 発起人の報酬・特別の利益
- 設立費用
- その他の記載事項(例:事業年度・株主総会の議長等)
定款の認証

原始定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じないことになっています。 公証人とは、国家公務員法上の公務員ではありませんが、国の公務である公証作用を担う実質的な公務員です。全国各地に約300の公証役場があり、約500人の公証人がいます(日本公証人連合会HPより)。 定款の認証を必要とするのは、定款の存否及び内容について明確性を確保し、後日の紛争を防止するためです。 そして公証人の認証を受けた定款は、株式会社設立前は、原則として変更することができません (会社法第26条1項、30条1項、2項)。 ただし、変態設立事項について裁判所の変更決定があった場合や発行可能株式総数の定めをする場合は、定款の変更をすることができます。
定款の認証は、現在では公証役場に行って行うのではなく、ウェブ会議による電子定款の認証が多くなってきています。 認証の手数料は、資本金によって異なりますが、3万円から5万円です。 紙の定款の場合には印紙代4万円が必要ですが、電子定款の場合には印紙代はかかりません。 その他必要な費用については、日本公証人連合会のHPで確認することができます。
日本公証人連合会のHP
次回の記事では、株式発行事項の決定と株式の引き受けについて解説します。
行政書士 八木勉事務所









